3月26日 事情聴取の後で

今日は5月10日、あの日から1ヶ月半が過ぎた。気がついたらこんなに日が経ってしまった。あの日のことを書き残したい気持ちはあって文章を書きためてはいたのだが、なかなか完成させる気力が湧かず。そうしている間にも故・水井真希さんに関してさまざまな動きが出始め、そちらに対処する必要が出てきた。慎重に事を進めねばならないので今は伏せておくが、書くべき時になったら書く。

それはさておき話を1ヶ月半前に戻そう。

3月26日、私は新宿警察署に出向いた。吉田孝行さんに会うためだ。映像作家の吉田さんは水井真希さんと金子遊氏の事件についてネットで情報発信していたが、その投稿内容を金子氏が問題視し、不法行為であると警察に訴えたことが原因だ。警察の事情聴取が3月26日に行われることを吉田さんはネットで告知し、事情聴取の後で取材に応じることも書き込んだ。果たしてどれだけの記者が来てくれるのだろうか?自分は記者ではないけれど、事情聴取の直後だけに最新情報を得られるのではないかと思い、新宿警察署へ出かけることにした。

普段、平日は仕事を入れているのだが、この日はたまたま仕事休みだったことも幸いした。

事前にDMで吉田さんに連絡を取ると、事情聴取は午後1時から始まり最低でも3時間はかかるとの返事があった。そこで警察署近くのカフェ・ベローチェで午後4時くらいから待っていたのだが、私のスマホには一向に連絡が来ない。そのまま待つこと2時間、その日の夜は別件の用事も入っていたのでそろそろ店を出なければと考え始めた頃、やっと連絡が入った。事情聴取が終わったのは6時だった。

外へ出ると物凄い風雨で、強風で傘を飛ばされそうになる。まるで警察署へ行くのを阻むかのように。でもたかが風、ここで風に負けて引き返すなんてバカのやることだ。逆風に逆らって無事に新宿警察署のロビーに到着した。が、肝心の吉田さんがいない。報道関係者の姿もない。たった一人だけソファに座る訪問者がいたので、尋ねてみると私と同じく吉田さんに会いに来た有志の方だった。しばらくすると吉田さんが現れた。忘れ物を取りに行っていたという。

記者が一人も来なかったので記者会見は開けなかったが、代わりに近くのドトールコーヒーで吉田さんの話を聞くことになった。長時間の事情聴取でさぞや疲れただろうと思いきや、吉田さんは興奮冷めやらぬ様子で熱っぽく聴取の様子を語ってくれた。私はその時の有様を以前にXへポストしたが、簡単にまとめると

1. 主な事情聴取は午後1時~午後5時頃まで行われ、全ての手続きが終了したのが午後6時。

2. 吉田さんが口頭で伝える内容を担当者がその場で記録していくため、記録中はただ待つしかなく時間がかかった。

3.吉田さんに対する取調べ担当者の対応は丁寧で、調書の内容に間違いがないか確認する時間も十分に与えられた。

4.警察の役割はあくまでも聴取することで、最終的に吉田さんの行為が適法か違法かを判断するのは検察の仕事になる。通常、検察が起訴か不起訴かの判断を下すには1~2ヶ月かかる。

5.調書を作成するにあたって警察は単に記録を残すだけにとどまらず、いかに供述の要点を的確にまとめ、検察にとって優れた判断材料とするかに心を砕く。水井真希さんと金子遊氏のことは複数のメディアで取り上げられ、SNSでも大勢の方々が言及しているので、吉田さんの印象によれは警察もそういった背景を参考にしながら調書を作成したようだ。

ちなみに吉田さんは女性抑圧の社会問題についてかなり勉強しているらしく、事情聴取に備えての参考資料として持参してきたのがこちらの2冊。

『助けてと言える社会へ 性暴力と男女不平等社会』

 大沢真知子 著 西日本出版社

『なぜ、それが無罪なのか!? 性被害を軽視する日本の司法』

 伊藤和子 著 ディスカヴァー携書

読むべき本ということで、このブログにも書名等を記載しておく。

その後、吉田さんからも事情聴取に関してX(旧ツイッター)への投稿があった。

https://twitter.com/yoshidafilms/status/1773271634608103429?t=Slhae9xTlceo0grNVjhlLQ&s=19

 

警察の事情聴取はたった1日で終わりましたが、「性被害の告発の言葉を残して亡くなり、もう声を上げることができない水井真希さんのためにも、自身が犯した性加害事件について全く反省していない金子遊を批判する投稿を今後も私は断固として続けて行きます」と私の供述調書は締め括られております。

 

とのこと。この場を借りてエールを送ります。